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「鏡の中のあなたは、おそらくあなた自身がどういう人が、自分自身で気付いてもらうためにあんなことをしたんだと思います」
「私自身が? どういう人間か?」
輝は、その問いに頷いて応えた。
「ローズさんは、密猟者を全員始末すると粋がっていました。でも、本当は殺したくはなかった。人を殺すことが怖かった」
「それは」
いいかけて、ローズは言葉を呑んだ。輝の言っていることは確かだった。本当に密猟者たちを殺そうと思っていたなら、死体を踏みつけている時に悲鳴など上げないはずだ。密猟者たちは憎い。しかし、そんなことよりもっと大切なことがあった。
「あそこで密猟者たちを本当に殺してしまっていたら、あなたはそれこそ密猟者たちと同じになってしまう。ただいたずらに自分の感情で生き物の命を奪う。それができないから、あなたは人間として、人間でいられるんです。あなたは分かっているはずです。本当に罰するべきは何者なのかを」
輝の言葉に、ローズは頷いた。
「輝、あなたにそれが分かるのなら、彼らをどうにかできる?」
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