第2話 青い薔薇

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 輝の話の半分あたりから、町子は顔を上げて輝を見ていた。そして、その話が終わると、町子は輝に寄り掛かって泣いていた。 「あるよ」  泣きながら崩れ落ちそうになっていく町子を、輝は支えた。 「私だってやりたいこと、たくさんあるよ」 「じゃあ、ふたりでやれるようにすればいいさ。そうだろ」  輝の言葉に、町子は頷いて応えた。輝から離れると、涙を拭いて、笑顔を見せた。その様子に、フォーラとローズはホッとした。  しかし、そんな時間は長くは続かなかった。  突然の来客があったからだ。  それは、町子が輝とともに立ち上がって、フォーラたちに笑顔を見せられた、その時だった。二人の人間がテンに連れられてこちらのほうに走ってきた。 「マチコ、大変だよ! 大変な話!」  テンはそう叫んでいた。彼女の後ろからついてきたのは、黒い髪を後ろで束ねた褐色のきれいな女性と、それとは対照的な、銀色の髪を持つ碧眼の白人男性だった。白人男性も褐色の女性も、二人とも黒いスーツを着ていた。何かあったのだろうか。  輝たちのもとへ着くと、まず、白人男性が口を開いた。 「フォーラさん、そちらは、見るものと戻すものですね」
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