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クチャナが、膝の上で手を握りしめた。悔しそうに歯を食いしばる。
「私や、私のパートナーであるコンドルがいない時を狙ったそうだ」
「考古学者とは」
辛い様子のクチャナを気遣いながら、セインが説明してゆく。もう二千年も時を共にして生きているのなら、互いの気持ちもすぐに察することができるのだろうか。輝は、町子を見た。不安そうにしている。セインやクチャナとは初めて会うのだろう。今度は、輝がしっかりしなければならない時かもしれない。いままで町子は自分のやるべきことのために心血を注いてきたはずだ。だったら、少し休ませてやってもいいのではないか、そう思った。
セインが再び口を開く。
「考古学者というのは、おそらく、クリスフォード博士でしょう」
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