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優雅なティータイムの時間を切り裂くように、輝が口を開いた。輝は、せっかく出されたお菓子やお茶には目もくれていない。それを見て、朝美が不満そうな顔をした。
「その、クエナってシリンの女の子は、どこへ行ったんです?」
輝の問いに、セインは湯飲みをテーブルの上に置いて、真剣な顔をした。
「私たちにもそれは分からない。クエナの住んでいた村の人間が、黒ずくめの男たちを見た、と、手掛かりはそれだけなんだ」
続いて、クチャナが悔しそうな顔で話し始めた。
「クエナが攫われた時、私がいれば、とも思った。しかし、そんなことは誰にも予測できるものではない。セインにそう言われて、熱くなっていた頭が冷めた。いまは、少しでも手掛かりが欲しい。協力してほしい」
「協力って言っても」
横で見ていた朝美が、腕組みをした。そして、輝や町子を眺めて、その瞳をセインやクチャナのもとへ戻した。
「具体的に輝や町子がなにをしたらいいのか、わからないんじゃ、どうしようもないよ。他に、手掛かりはないんですか?」
すると、セインもクチャナも少し、考え込んだ。目の前にある煎茶は冷めてしまっていた。クッキーには手を付けていない。それどころではないのは分かっていたが、友子も朝美も少し寂しくなって、顔を見合わせて苦笑いをした。
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