8人が本棚に入れています
本棚に追加
すると、しばらく考え込んでいたクチャナが、口を開いた。
「イタリアへ行ってはどうか」
「イタリア?」
輝が返すと、セインが、そうか、と言って表情を明るくした。
「イタリアのナポリ近郊に、クリスフォード博士の研究室がある。そこに何かあるかもしれない。君たちには連日の渡航になってしまうかもしれないが、行ってみる価値はありそうだ。どうかな?」
セインの提案に、輝が了解を出そうとしたその時、町子が立ち上がって輝の前に出た。
「ちょっと待って、セインさん。調査に行くだけならお二人だけでも十分なはずです。私たちがいく必然性がありません。転校先での授業もかなり遅れているし、そう何日もここを空けてはおけません」
その行動に、輝は驚いた。いままで町子は周りに言われるがままに動いていた。それを信じて疑うことがなかった。今のように意見することはなかったのだ。
最初のコメントを投稿しよう!