第3話 粉挽き小屋

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 あのとき、青い薔薇のシリンであるローズのことで別れた時、輝は変わった。それと同じように、町子も変わったのだろうか。  町子の意見に、セインとクチャナは互いに頷きあった。 「町子、よく言ってくれたね。でも、私たちにも、あなたたちに来てほしい理由がある。見るものや戻すものでないと解決できない問題があってね。私たちのような明らかなシリンでは駄目なんだよ。だから、一緒に来てほしい」  自分たちにできること、自分たちにしかできないこと。  輝は、立ち上がったままの町子をそっと見た。すると、町子は視線をこちらに返してくれた。どうやら、考えていることは一緒らしい。 「条件があります」  輝は、町子を座らせて、こう言った。 「移動中、俺たちに歴史と数学の勉強を教えてください。セインさんは歴史の、クチャナさんは数学のエキスパートだと聞きました。それでどうでしょう」
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