第4話 研究室

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「失礼、見るものの少女と戻すものの少年。改めて自己紹介するわね。私は、熾天使が一、ラファエルのシリンで名をカリーヌと言います。フランス在住。好物は、君たちが救った、あのパン屋のパンよ。意外とミーハーだっていうのは自分でも承知よ。よろしくね」  ああ、熾天使だったのか。どうりでどこかで会った感じがしたわけだ。いま、輝の前にソラートの顔が出てきていた。ソラートはウリエルだった。熾天使はセインに聞いたところ四人いるだろうから、あと二人は確実にどこかにいるはずだ。 カリーヌは、町子と輝に握手を求めてきた。その手をそれぞれがとると、満足したようにカリーヌはにこにこと笑った。  次にシリウスが自己紹介をしてきた。 「シリウスだ。ドイツに妻と二人で住んでいる。特にこれといった好物はないが、そうだな。猟師としての仕事を終えた後の一杯のビールが楽しみだな。育った場所は冬、雪深かったから、割と冬は好きだな。さっき、セインやクチャナとも話したんだが、狙撃だけで言えば、かなりの自信はある。オリンピックにでも出たい気分だ」 「不老を決めたシリンは、オリンピックには出られないからな」  クチャナが、釘を刺した。 「まあ、シリウスとは仲良くなっておくといい。彼は地球のシリンとは旧知の仲だ。いろいろ話も聞けるだろう。私たち風の刻印の所持者も、刻印の授与にあたって会ったこともあるし、ともに戦ったこともあるが、子供のころから一緒にいたわけではない。貴重な話が聞けるはずだ。特に町子、お前はな」
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