第三章

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【起】  初夏の夜、私は堅苦しいリクルートスーツを手早く脱いでスエットにTシャツを着込み、テーブルの上にはつまみにお菓子を用意、そして当然のようにビールを数本用意した。 「よーし、今日はひたすらこれを見るんだ!」  明日は休日、予定なし!  私は借りてきた『呪いの○○』シリーズをしこたま借りてきた。そしてそれを、いそいそとデッキ代わりのゲーム機にセッティング、再生を押した。  淡々と流れる音声、監視カメラに写る不可思議なもの。それらにゾゾゾッとするのが私の夏の楽しみ方。  季節になれば某怪談師のオールナイトイベントにも参加するし、時にはお寺で行われる落語家の怪談も聞きに行く。  こう……想像を巡らせて寒くなる感じが快感なんだ。  例えばだ、こうして見ているテレビの一瞬の暗転、瞬間映る部屋の風景と私の顔。そこに違う誰かが映り込んでいたりしたら?  何気なく見た隙間から誰かの目が覗いて消えたら?  怖い。怖すぎる!  そうして映像と映像の間にある暗転。映し出された私の部屋と私の顔…… 「え?」  
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