第三章

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【結】 私は突如腕を掴まれ、引きずり出された。そして、嬉々とした顔をする男を見たのだ。 「理想的! ねぇ君、私の彼女にならないか?」 ――は? いやいや、状況が分からない。え? 私って普通「きゃぁぁぁ!」とか言われる対象なんじゃ……。 長く額縁の中で生活しているけれど、腕を掴まれたのも初めてなら告白された事も初めて…… 「あっ、やっぱり冷たい。癖になりそう。一度でいいから禁断の○○なんて憧れてたんだよ」 ――ん? こいつ、もしや思った以上にヤバイ奴なんじゃ…… 「えっと、まずは清い関係からでいいんだけれど……あ、住むのどうしよう。いっか、この部屋に住んでもらえば」 ――いやいや、こっちの同意なしに話を進めないで! 「家事とか大丈夫! いてくれればもうOKだから」 ――駄目だ、こいつ危ない奴だ!! 私は男の手を逃れると額縁の中へダイブ! けれど男は尚も話しかけてくる。なんなんだ、まったく! それから一ヶ月、男は毎晩私に愛の告白をしてくる。 完全ストーカー気質。でも…… ――案外、嫌いじゃないんだよね 私がこの額縁から出る日も、近いのかもしれない。 END
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