第四章

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【承】 「おーい、開けておくれよー」 「臣!」  僕は慌ててベランダを開けた。  臣は大学で知り合った友人で同じサークルの仲間。ついでに同じマンションの隣同士だ。 「お前、何やってんだよこんな寒い日に! しかもどっから入った!」 「どっからって……そこ」  臣は薄っぺらいベランダの防火扉を指さす。一気に頭が痛くなった。 「普通に玄関から入ってこいよ! あっぶないだろ!」 「だって、それじゃ普通だろ?」 「普通でいいだろ!」 「サプライズにならない」 「サプライズ?」  首を傾げた僕の目の前で、臣は近所迷惑も考えずクラッカーを鳴らした。 「誕生日おめでとう!」 「……へ?」  あぁ、そうか。誕生日か。誰かさんのせいで忘れる所だった。 「ってことで、誕生日パーティーしよう!」  僕は臣に引っ張られるように部屋に入った。  
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