第五章

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【起】 あぁ、なんて暇な授業なんだ……。 とある冬日の昼下がり、5時限目の化学の授業、生徒達はつまらなさ過ぎる先生の話を聞き流しながす。 既に”睡魔”という悪魔に意識を持っていかれてしまった生徒がちらほら居る中、呆然と窓の外を眺めていた。 グラウンドでは一学年下の女子達がマラソンをやらされている。 サッカーやバレーボールなら見る意味もあっただろうが、ただ走っているのを眺めていても何も面白くないよな……。 まぁ、あのハゲ駄郎の授業を聞くよりは充分マシだけど。 「では柏木君、このヨードホルム反応についての説明をして下さい。――柏木君? 聞いていますか、柏木君!」 「えっ、あっ。は、はいっ!」 ハゲ駄郎に突然指名された俺は動揺していた。 いや……、ヨードホルム反応とかいきなり言われても分からないんですけど―― だが、面倒なことにこのハゲ駄郎に指名されたら最後、正解を答えるまで授業が次に進む事はないのだ。 普段なら指名しない癖しやがって、ふざけんじゃねぇぞ! 独り、どうすれば良いか悩んでいたその時――  
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