老いた一匹狼

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老いた一匹狼

僕には家族がいない。昔は両親がいたのだが、二人とも亡くなった今となっては、天涯孤独な身となってしまった。親戚は遠くに住んでいて、しかも代替わりして疎遠となった。近所付き合いもしてないから、ゴミ出し以外は何の関わりもない。いわば村八分されてる身は先が知れてる。そもそも、僕は子供の頃から友達がいないので孤独には慣れてる。 僕は、朝刊を読んだ。死亡欄にかつてのクラスメートが載る。しかし、僕は葬儀に出ることはない。少ない年金では、それを香典に包むと生活費が足りなくなってしまう。まだ息子がいるなら、彼の給料に集ることができる。しかし、子供がいないのでそれもできない。 僕は、朝刊を読み終え、朝食を済ませたらパートへ出かけた。僕は、警備員として勤務している。コンテナブースの中で出入りする業者さんに名簿を渡して住所氏名などを記入させる仕事である。 行儀がいい者がいれば、態度の悪い者もいる。僕は、毅然とした態度を取りながら業務を行う。定時になると鍵をかけて本部へ戻る。仕事が終わればコンビニで安酒買って家で飲むのが楽しみである。他の人は妻や孫がいて、僕のことなんか眼中にもないからである。     
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