老いた一匹狼

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晩酌だけが楽しみの僕は、自分は今まで何をしてたのだろうと思う時がある。若い時は結婚なんかどうでもいいと思ってたことがある。しかし、今更ながら家族を持たなかった事に後悔している。介護や葬儀をしてくれる者がいないし、両親と同じ墓へ入ったとしても管理してくれる人がいない。 若い時は、寝たきりになったらどうなるのだろうと考えたことがなかったのに、今は時々そんな事を考える。今日も、孤独死してる老人の記事が載ってる。明日は我が身の記事を最後まで読んだら、他の記事にも目を通して新聞を閉じた。 考えても仕方ないから、晩酌を終えたら小便して寝るしかない。僕は、何年も干してない布団の中に入った。明日も加齢臭する体に香水かけて警備員としての仕事を全うするしかない。僕は、女の給料みたいな小金を得るために明日に備えるのである。 次の日も朝刊を読んで朝食を済ませると出勤する。クソジジイと言われながら一日を終えると、妻子ある同僚に挨拶して帰る。コンビニの安酒を飲んで寝た僕は、そのまま眠りについた。それは普通の眠りではなくて、永遠の眠りである。 僕は、脳溢血で倒れたのだ。次の日は休みの日だったので、誰も気がつかなかったが、出勤日になって無断欠勤に気がついた上司が連絡取ろうとした。しかし、誰も応答しないので僕のアパートの部屋へ大家さんの鍵を使って入った。     
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