雨の日は君の日

それはまるで死にそうな生き物が最後の命を振り絞りこちらをにらんでいるような、
最後の命を燃やしているのではないかと思わせるような目だった。
女はそれほど疲労の中をさまよっているのだろう。
ペンが止まっているのに気づき、慌てて受付用紙を受け取った。
俺としたことが、まじまじと見てしまっていたようだ。
そんなにキレイではない字。利用時間は２時間だった。
憂さ晴らしだろうか。
「ご利用時間は二時間でよろしいですか？」
確認すると、女はまた力なく頷いた。
相当疲れているんだろうな。
しかし疲れているのに来るって事は、よっぽどストレス溜まってるのだろう。
一通り受付作業を終わらせて、俺は女を部屋に案内した。
歩き方もどことなく危なっかしく、
階段を上る足音が不規則で、案内するこっちもハラハラしながら女の様子をちらちらと見た。
「こちらの部屋です」
ドアを開けると、女はふらふらーっと部屋に入っていった。
「ごゆっくりどうぞ」
営業スマイルをしてドアを閉めた。
「あれ、大丈夫か？」
俺が心配したところでどうしようもないんだが、
なんだかなと頭を掻いて、俺は受け付けに戻った。