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雨の日は君の日 2
学校の窓から見える空は晴天。
昨日の雨が嘘のように雲のない空だったけど、俺の手には昨日の紙があるから、あれは本当だ。
結局連絡をしていない。
どうすればいいか正直迷っていた。
「おはー」
友人の丸山が俺に近づいてきたので、すっと紙をポケットにしまった。
「おー」
なんでもない顔をして言ったが、丸山には利かなかった。
「なんだよ、今なんか隠しただろ」
「いや別に」
「別になら見せろよ」
すっと手を出されたので、その手をはじいてやった。
「対したことじゃないって言ってんだろ」
「ははぁーん、女だな」
こいつは妙に鼻が利く。
「ちげーよ」
「俺はごまかせねぇーぞ。
正直に言わないと、真希ちゃんに斎藤が怪しいって言っちゃうぞ」
にやにやと笑う丸山。
いらっとしたが、彼女である真希に言われるとまずいので紙をポケットから出した。
あからさまに嬉しそうな顔をして、俺の前の席に座ると、丸山は紙を開いた。
「お、やっぱ女じゃん」
「一方的にもらったんだよ」
「連絡したのか?」
「いや」
「してみろよ、柿崎さんに」
しれっとした顔で広げた紙を俺に渡してきた。
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