オレは進む!

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 ドンっと金袋をオレたちの前に置く。 「大盤振る舞いや。これでどうや」  「もうひと声」  チッ。  渋面をする。  重そうな財布を出す。  ジャラジャラと、コインをワァタクシの手のひらに出していく。空になった財布を、パタパタと振って見せる。 「あかん。持ち金、あらへんようなってもうた。わし特製の調味料を特別に追加するんで、それで手ぇ打ってくれへんやろか」 「ワァタクシ、この金額でいいよ。オレがまたなんか、探すからさ」 「そうですか? オレサンがそう言うのでしたら、わたくしは矛を収めます。でも、このヘビ肉はもっと高く売れますよ」  本当にそうなのか、ワァタクシがイータマエに、吹っかけようと芝居をしているのか。 「重い肉を抱えてちゃ、もっと良いものを見つけたとき、手にできないよ。それ、嫌だろ?」 「そうですね。それは悔しいかも、です」 「もらった調味料を使って、残したヘビ肉でチマキご飯を作ろう」 「保存食を作って、今度はどちらへ?」 「南東にどでかい街がある。地図にあったから見てみたいと、前々から思っていたんだ。この人から受け取った金で、穴路探検に必要なものも買いたいじゃないか」  エメちゃんの服とか。  エメちゃんの髪飾りだとか。  そうそう。  エメちゃんの靴も要る。  オレんちにあった母親のスニーカーを履かせているが、できれば、妖精少女たちが履いていたようなサンダルを掃かせたい。  うちの靴箱にあった母親のサンダルは、人間仕様だ。飛翔したりできない。危険な場面で翔ぶことのできるサンダルが欲しいと、オレは切望していた。金銭的にゆとりができれば、いの一番に買おうと思っていた。  これで買える。  感涙にむせび泣きそうになる。 「ほな、なんですか。あんたら、このオレサンの言う通りの穴路を進んでおると?」 「オレサンはアタリの路しか行かないにゃ」 「ほお。そら、聞き捨てならん話やな」 「コラ、オーレ。余分なことを」  ワァタクシが焦る。  オーレの口をふさごうとする。 「ほうほう。そうやったんか。あんたらはこの御仁の正体をわかって、お仕えしとると」 「何のことでしょう。わたくしたちは偶然仲間となっただけ。仰る意味がわかりかねます」 「すっとぼけるなら、それでも構へん。本モンなら、いずれ聞こえてくる。そやから」
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