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Track.4
「はいどうぞ」
あたしは自分が作った曲が入ったCD-Rをヒツジくんに渡す。
「うん。いや~楽しみだね、新曲」
そう言ってくれるのはお世辞でも嬉しい。
あたしは自分の薄い顔に皺を入れるように深く笑った。
あたしは、月に一度に必ずアルバム一枚分の曲数が入ったCD-Rをヒツジくんに聴いてもらっている。
楽器は14歳から始め、20歳くらいから自分で曲を書くようになって、そして今でも書き続けている(きっかけは友人の兄貴が聴いていたブルーハーツでパンクを知り、そこからセックス・ピストルズみたいなベタな感じ)。
一人暮らしの頃は、朝昼夜、ずっと音楽を聴き、楽器を弾き、曲を作り続けた(アルバイトもしてたけど、バンド活動に支障がでないように、ほとんど仕事はしていなかった)。
酷い時は三日寝ずにとか、スタジオでメンバーと会うまでメシを食わないとかは、ざらだった。
そして食費を浮かしてCDを買い漁った。
ベースをやっていたバンドの音楽は、ライドの曲を弾くスマッシング・パンプキンズといか……。
いや、ヘビーなスーパーカーか?
まぁ、そんな感じ。
メンバーの好みも考え、あたしは色んなジャンルの音楽を聴いて聴いて聴きまくり。
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