54人が本棚に入れています
本棚に追加
ググればいいと思われるかもしれないが、この時のあたしは携帯でインターネットをできる事を知らなかった。
ちなみに千春ちゃんとは、ヒツジくんの彼女だ。
山崎千春。
26歳。
上品で知性を感じさせる女性。
でも、たまにとんでもない毒を吐くところがスパイスになっていて、それがあたしにとって彼女の魅力でもある。
普通に考えて、彼氏の家に夜押しかける人間なんて嫌いそうなものだが、彼女はあたしに優しかった。
そう……。
あたしなんかと二人でご飯を食べるくらい――。
「ねぇ……正直あたしといても面白くないんじゃない?」
「どうしてですか?」
「だって千春ちゃんは教養ある人だし。あたしもの知らないし……。おまけに同じ色白でも、千春ちゃんは透明感があって健康的なのに、あたしは病的な感じだし……」
千春ちゃんが傘をさせば、白い砂浜に現れたお嬢様になるが、あたしの場合は梅雨時のジメジメ湿気雨女。
それぐらいの差がある。
あたし……海って名前なのに、全然砂浜や太陽が似合ってない……。
闇子って名前の方が合ってたかも……。
「あたしは海さんといるの楽しいですよ」
彼女は面倒なあたしの話を聞いてくれて、そう言ってくれた。
う、うぅ……。
思い出すと涙が……。
あたしが彼女と暮らしていたら、毎晩抱くわ!!!
そんな事を息巻いていた。
最初のコメントを投稿しよう!