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「えぇ~。でも簡単なものしか作れないよ、あたし」
「いいから頼むわ」
彼女は料理が得意ではないと言ったが、クリームチーズの明太子マヨ、鶏ササミのピザ、揚げないフライドポテト、トマトのチーズ乗せサラダ、アボガドチーズベーコンなどの、謎料理を手早く作った。
これがまた美味しかったんだ。
……アイちゃん凄いな。
得意じゃないのにこのレベル。
それに比べてあたしは……。
いや、あたしは得意とか苦手のレベルまでいってない。
つまり……できないのだ。
曲や歌詞ならすぐ作れますが、そんな女を男は欲しがりません……うぅ。
あたしはジャックダニエルをコーラで割って内心ひとりでベソをかいていた。
「チバさん超カッコよかった!!! あたしもギターやろうかな?」
「おぉ!! いいね。グレッチ買えよ。グレッチ」
グレッチを弾く女の子……。
あたしの理想……PJハーヴェイ。
「でも、買ってすぐ挫折したらもったいないじゃん。だから悩むよね」
「大丈夫だよ。ここにいる『音楽と寝る女』が先生なって教えてくれるさ」
あたしがアルコールで朦朧としていると二人が勝手に話を進めていた。
勘弁してくれ……。
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