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Track.6
「明日早いからもう寝るわ」
堀木は車の運転で疲れていたのか、浴室に向かって行った。
おそらく風呂に入ってから眠るのだろう。
あたしはアイちゃんの作ったトマトのチーズ乗せサラダを一口食べると、ジャックダニエルのコーラ割を飲み続けた。
「そういえばユカとは連絡とっているの?」
「いや、2~3年前に一度日本に来たけど。元カレに会うとかで会えなかったよ」
ユカとはあたしの元恋人。
黒崎結花の事だ。
彼女とは、彼女がやっていた個人経営の雑貨屋で、あたしがお客として行っていて知り合ったんだ。
若い女一人でよく店を持つ事ができたね、と思って訊いてみたら、どうやら父親が不動産会社の会長で、そのコネがあるみたい。
でも、ユカは父親の事が嫌いで詳しく話してはくれなかった。
話を戻すと、あれは何度かお店に出入りしている時に――。
「あんたさ。いつも輸入物のブート買っていくよね?」
「はぁ……」
「しかもギャング・オブ・フォーとかキリング・ジョークみたいな、英国ポストパンクばっか。女の子なのにめずらしい」
「好きなんですよ、昔から……」
「奇遇ね。あたしもだよ。あたしの名前はユカって言うの。仲良くなれそうね」
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