*始まりの予兆

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 カルクカンには他に、赤や黄色や緑といった多様な色がある。ほとんどは野生のものを捕まえて飼い慣らすため、希少だと言える。 「近頃よ、どうにも変な空気を感じるんだが」  エンドルフは胸当て鎧(ブレスト・プレート)が気になるのか少し持ち上げ、苦い表情で問いかけた。 「ああ。大気が妙だ」  鎧類は一切、身につけていないシレアも眉を寄せる。この、わずかな変化に気付いている者はほとんどいないだろう。  気のせいとも思えるほど、ごく小さなものだが心に重くのしかかるような感覚は、気のせいと言い切るにはどうにも気にかかる。  どこか、得体の知れない不安感とでも言うのか。とはいえ、そんな曖昧なものに執着しても仕方がない。
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