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車は高速を下りて山道に入った。
「わー、
大自然」
夏の終わりの山は緑がいっぱいで、
ここで暮らしたら凄く健康になりそうだ。
窓を開けて空気を吸い込んでいると彼に笑われた。
「目的地もうすぐだから」
さらに進んで標高の高い場所に来ると、
急に目の前が開けて光るものが見えた。
車を停めた瞬間、
ドアを開けて走り出る。
「おい、
転ぶなよ」
「綺麗…」
「これを見せたいと思って」
眼下には山に囲まれた小さな湖が見えた。
峠から見下ろすそれは青い宝石のようだ。
「一度来てるはずだけど、
覚えてないよな」
「え、
そうなの?」
「漣が結婚してすぐだったか、
皆で来た」
すると、
彩香が産まれて間もないあたりだろうか。
それなら記憶になくて当然だ。
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