灯火

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「遊園地とか動物園とか?」 ニヤニヤして言うと麗奈はムッとしたようだった。 「小学生じゃないんだから」 こないだまで喜んで行ってたくせに、 と言ったが無視される。 「カイやルリもしょっちゅう一緒にいたじゃん。 二人きりで遠くに行きたい」 「…どこか希望の場所があるのか?」 「温泉とか」 俺は耳を疑った。 ここに入り浸るのも恐らく良く思われていないのに、 外泊が許される訳がない。 「泊まりは無理だろ」 そう告げるとあからさまにガッカリする様子に少し罪悪感を覚える。 「一泊とかは無理だけど、 ちょっとくらいの遠出なら行けなくはないかな」 そんな麗奈にほだされて、 俺は提案した。 少し遠いがちょうどいい行き先がある。 「本当に?」 一も二もなく食いつく彼女に俺は苦笑した。
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