第二雨 はじめまして

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第二雨 はじめまして

そのとき、頭上から、優しい声が降ってきた。 「傘、無いの?大丈夫?これさしてかえって。」 見ると、近くの女子高の制服を着た女の子が真っ黒な傘をさしだしてくれている。 ありがとうございます……そう言おうとして彼女の方を見ると、彼女はもうどこかへ立ち去っていた。 せっかく貸してもらったのだから、ありがたく使わせてもらおう………そう思ってその真っ黒な傘をさすと。 私は驚いてしまった。 外側から見たら何の変哲もないただの黒い傘。 だけど、その内側には、青空が広がっていたのだ。少しだけ雲がかかっているけど、夏のような真っ青な空。 その傘を見ると、なんだかすごく幸せな気分になった。 自分の名前も言わず、ただ静かにその場を去った不思議なお姉さん。 青空の広がる傘をもった、晴れの日のような温かいお姉さん。 傘を返してもらえるという保証もないのに、また会える確率なんて低いのに、それでもびしょ濡れの私に傘を貸してくれた優しい人。 晴れの日のような人。 「またいつか会えますように……“ハレさん”」
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