第三雨 もうひとつのはじめまして

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第三雨 もうひとつのはじめまして

次の土曜日。 部活の練習があったから、学校に来ている。 今日は、雲ひとつないような青空。もうすぐ夏だからか、セミの鳴き声が聞こえてきそうだと感じた。 「結雨ちゃんちょっとこっち来て。新しい楽譜配るよ。」 先輩の呼ぶ声に答え、先輩の方へと向かう。 Drums、Marimba、tambourine……見慣れた楽器名のなかに、ひとつ初めてみるものがあった。 “rainstick”……… 「先輩、なんですかこれ?」 私の問いに、先輩は、 「そっか、結雨ちゃんは知らなかったか。」 と呟き、私の手を引いて楽器倉庫に入っていく。 「ほら、これがレインスティックだよ。」 そう言って先輩が手渡してきたのは、1mほどの竹のようなもの。 「斜めに傾けてみて。」 そう言われて、傾けてみると。 驚いた。 聞こえてくるのは、紛れもなく “雨の音”………
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