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第四雨 晴空に虹の橋
“rainstick”………
私は、その楽器に一目惚れしてしまった。だから今日は、いい日。いい日には、傘を買いに行きたくなる。
それに、結局傘は戻ってきてないので、新しいものを買うのもいいかな、と思ったのだ。
家に帰って、散歩がてらお母さんと共に近くの傘屋さんに向かう。
そこは、少し古風な雰囲気の小さなお店。
おじいちゃん店長が一本一本手作りしているという、温かみのある傘を売っている。
「いらっしゃい。よぅきたね。」
扉を開けるとおじいちゃんの声が聞こえた。
「お母さんちょっと店長さんとお話ししてくるね、気に入ったのあったらいってね。」
お母さんはそう言って、店長が座っている奥のレジの方に歩いていった。
どこを見ても、傘、傘、傘………。
青いの、
黄色いの、
水玉柄に
しましまもよう。
色んな柄、色んな色……たくさんの色とりどりの傘に囲まれた空間に、思わず顔がほころんだ。
ふと、目に留まった1つの傘。
柄も傘の部分も、濡れたからすのように真っ黒……
自分でも、なぜこの傘が目に留まったのかはわからない。だけど、なにか運命のようなものを感じてその傘を手に取り、開いてみた。
私一人はすっぽりおおえるくらい大きな傘。だけど、持って見たら意外と軽くて、持ち手もすごくフィットしてる。
でも。そんなことは些細なことだ。何より、私を驚かせたのは。
その傘の内側だった。ハレさんに貸してもらった傘のように、内側と外側では大きく柄が違う。その傘は、内側に青空、そして美しい虹の橋がかかった傘だった。
この傘が、私を見つけてくれたのかもしれない。ハレさんと出会って、rainstickと出会って、この傘に出会った。これは、運命かもしれない。
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