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第六雨 晴れのちハレさん
クリーム色のフワッとしたワンピース。服装こそ違えど、傘を貸してくれたあのお姉さん、ハレさんだった。
「あ、この前の子だ。あれから大丈夫だった?風邪引かなかった?」
ハレさんが言った。
「大丈夫でした。風邪引いてないです。傘、本当にありがとうございました!」
と私。
そのやり取りを見ていた店長とお母さんは目を丸くした。
「二人は知り合いなの?」
お母さんが問う。
「知り合いというか……この前傘を貸してもらったの。」
私は説明した。
その時貸してもらった傘が夏の晴れ渡った空のような傘だったこと。外側は真っ黒なのに。その傘のことを覚えていたから虹の傘を選んだこと。
お母さんと店長がお会計をしている間に、お姉さんと話した。
「今度、傘を返しに来ますね。そういえば、お姉さんは何て名前なんですか?」
お姉さんはキョトンとして、
「あ、いってなかったっけ。私はね、晴夏。晴れるに夏とかいて、はるか。よく晴れた夏の日に生まれたからなんだって。あなたは?」
私は答えた。
「白峰結雨です。結ぶに雨で結雨。中学二年生です!」
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