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「ルカ、おまえだって似たり寄ったりだろ」
ケーキに添えられたカシスジャムを
最後の 一口と一緒に食って言うと
「うん、まあな!」と、ルカは あっさり肯定した。
ルカは 霊視とは違い、人や物に残った思念を読み取ることが出来る。
なので、親しい人やペットを亡くした遺族から
呼ばれたりすることもあるが、これは仕事じゃないと言う。
どこからか呼ばれたら行く。
思念を読み、伝えて
「じゃあ、失礼します」と、そのまま帰って来る。
だったら、どう稼ぐかというと
アンティークショップなどの中古品の目利きや
建物や土地に残ったものを読み、その解消法を
提示する、とかだ。
簡単なものなら除霊などもやるようだけど、その方法は “説得”。
話が通用しないようなヤツや、怨念のみだと
ムリらしい。
若い頃に、アリゾナに留学経験があり
その時に精霊と縁を持ったという。
コヨーテをはじめ、風や地の精霊を呼べる。
だが なんといっても、ソロモン王にも使役されたという、魔神クラスの悪魔をツレに持つのは、こいつくらいだろう。
なんかさ、ルカは
人にも いろんなもんにも、すぐ気に入られるんだよな。
一緒にいると、それが何故なのか なんとなくわかる。
「泰河、おまえさぁ
ヒゲ剃って、髪もうちょい伸ばしてみろよー」
今は、オレの顎ヒゲ見ながら 唐突に言っている。
最近 これ、よく勧めてくるんだけど
なんなんだよ...
「そしたら、もっと似るぜ。
あの俳優。なんだっけ?
ほら、若くで死んじまってさぁ... 」
沙耶ちゃんが「ああ!」と
その俳優の名前を言う。
「うん。眼の感じとか似てるかもね。
ステキだったわよね、彼」
ふうん... ステキかぁ...
じゃあ、髭 剃ろっかな...
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