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「... Panem nostrum quotidianum da nobis hodie;
et dimitte nobis debita nostra,
sicut et nos dimittimus debitoribus nostris;... 」
ジェイドの詠唱に、オレの手の下の
男の足の力が抜けていく。
もう、咆哮する余力も残っていないようだ。
「... et ne nos inducas in tentationem;
sed libera nos a Malo. Amen.」
祈りが済むと、男の眼が閉じ
全身から がくりと力が抜けた。
終わったのか...
ジェイドが掴んでいた男の顎を離して頷くと
ルカが そっと、男を床の布の上に寝かせる。
オレも足から手を離したが
ジェイドが医者に診察を頼み
「すぐ戻ります」と、教会の通路を歩き
扉から外へ出た。
なんだ? まだ何かあるのか?
オレとルカも それに続く。
教会の石畳の向こう、鉄柵の外には
マルコシアスと 牡牛の頭の悪魔、ハーゲンティがいた。
二人の間には、人間に見える男が
両手と膝をついている。
あいつ、今のダイナって悪魔か?
ジェイドが 二人に頷くと、ハーゲンティが
上に向けた手のひらを軽く上げた。
地から黒い鎖が伸びて、両手と両膝をついているダイナを拘束して 地に沈め
ハーゲンティとマルコシアスも消えた。
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