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女が出る という依頼があったビルに着くと
駐車場に車を入れ、管理室で依頼人に話を聞く。
「左の隅から二番目なんですけど、車を入れようとすると、急に女の人が現れて
何度も轢かれてしまうんです」
へー、なるほどなぁ。
「過去に、そういう事故が起こったんですか?」
ルカが聞くが、駐車場で そんな事故は起こったことがない という。
「ですが、それのせいで
今後、本当に事故が起こったらと思うと... 」
今 話してる依頼人も、実際に 一度 見たらしい。
噂を聞いて、左から二番目の駐車スペースに車を入れてみると
ぼんやりと立つ、髪の長い後ろ向きの女が 忽然と出現して、車に当たった感覚があったそうだ。
まあ、さっさと終わらせるか。
「とりあえず、見てみますね」
問題の駐車スペースに車を入れる前に
後ろ向きに車を停め、ルカを降ろす。
「まだ、その女は出てねーな」
ルカが そう言って、後ろの壁と
車止めの縁石の間に立った。
オレも左眼を隠し、右眼だけで見てみるが
何もいるようには見えない。
「とりあえずさぁ、車 入れてみようぜ」
「そうだな」
いつでも車を停められるように、そろそろとバックする。
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