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立ち上がろうとすると、おじさんが
「まだだ」と、背後からオレの右肩に手を置き
祓詞を唱え出した。
「天清浄 地清浄 内外清浄 六根清浄と 祓い給う
天清浄とは 天の七曜九曜 二十八宿を清め
地清浄とは 地の神三十六神を清め... 」
祓詞が終わると、やっと外に出ていい って言われたけど、いつもは この祓詞はやってないよな...
灯火の皿を朋樹に渡し、拝殿の扉に鍵を掛け
「俺は祈願と祓いに行くから、お前らは 家に戻っとけ。仕事の話は後だ」と
おじさんは オレの顔を見て、満足気な顔で社務所へ向かって行った。
「泰河」
朋樹に呼ばれて「あ?」と、顔を向けると
朋樹は オレの顔を見て眼を閉じ
ルカと ジェイドも、何か “あ... ” というような
残念そうな顔をしている。
「なんじゃ? 如何した?」
榊が聞くと、ルカが
「泰河、おまえ
模様なくなってるぜ」とか言う。
「ええっ?!」
模様って、右眼の周りか?!
右腕のシャツを たくし上げてみるが
そこにも白い炎の模様はなかった。
「... 親父が唱えたのは、天地一切清浄祓だ」
「何だよ それはよー!!」
「そのままだ。天地と人を清浄するんだよ」
嘘だろ...
さっきの祝詞で、全部なくなったのかよ?
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