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「模様とは何じゃ?」 榊が不思議そうに言う。 「あれ? 榊さん、見えてなかったの?」 ルカが聞くと、榊は「ふむ」と頷く。 「ハティが、天使と悪魔には 模様が見えないように隠しただろう。 榊さんにも有効だったみたいだ」 そう。ルカが天の筆で出した白い炎の模様は オレが あっちこっちから狙われるのを防ぐために、 ハーゲンティが隠した。 けど薄くなった とはいえ、感がある人間には 見えてたはずだ。 榊は別として、こいつらに見えないなら もう模様は消えちまったんだ... 「いや。一度 祝詞を唱えたから といって 獣の血が身体から抜けたりはしないと思うぜ。 それなら 10歳の時に、とっくに やってるはずだ」 「だよな! そうだよな!!」 朋樹の言葉に強く賛同し 「ルカ! もう 一回 筆でなぞってくれ!」と ルカに顔を向けたけど 「でも今は、眼の周りにも腕にも 模様は見えないぜ」と返されて、肩を落とした。 今、おじさんが隠したってことか? ちょっと待ってくれよー... せっかく、胸 張って 祓い屋だ って言えるようになったのによー... 肩を落とす オレを前に、朋樹は 「けどな」と、ニヤッとした。 何か楽しいんだよ、こいつ。イラつくぜ。 そう思ってたら、チャコールグレーのパンツの ケツポケットから スマホを取り出した。 何なんだよ、きれいめパンツ穿きやがって...
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