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「録ってある」
朋樹がレコーダーアプリを起動し、再生をタップすると、おじさんの声で さっきの意味不明の祝詞が流れ出した。
「今日は いつもより長かった。最後の方だ。
後は、どこの言葉か確かめて... 」
「ヘブライ語じゃないのか?」
ジェイドが普通に言う。
「えっ、マジで?
ジェイド おまえ、わかるのか?」
ジェイドは、ヘブライ語自体は話せないようだが
聖書を読む時に少し噛ったことがあるのと
シェムハザの城で ラジエルの書を読んでから
知らない言語の意味が、不意に わかることがある という。
「おじさんは日本の祝詞のような抑揚で読んでいたし、内容も単語が並んでいるだけのようだけど、古代ヘブライ語だと思う」
「マジか! 家に戻ろうぜ!
親父が戻るまでに訳してくれ!」
すげぇ うきうきしてるけどさ
それ 訳したから って何なんだよ。
模様消えたんだし、もう意味ねぇだろ。
ただ変な血が混じってるってだけだし、オレ。
「まぁさぁ、また模様 見えたら なぞるし
そんな落ち込むなよー」
オレの背をパンパン叩いて ルカが言う。
なんか、前にもあった気がする
こんなようなこと。
あ、あれだ。喋れなくなった時だ。
こいつら、オレが気落ちしてても
大して気にしねぇんだよなぁ。
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