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「で、今 訳したヤツで ヘブライ語の祝詞か預言は全部か?」 テーブルの上のスマホを指差して聞くと 「いや、まだある」と 朋樹が再生をタップする。 「この辺は、普段は聞かない部分だ」 「“火をつけ” “取り除く”... “私に 光 サインを” サインは “印” かもしれない。 ... “フヒ”?」 ジェイドが また何度も聞き直している。 「最初に拝殿で聞いた時も 気にかかったんだけど おじさんはヘブライ語を知っているのか?」 朋樹が「いや」と、首を横に振った。 「あの巻物に、神童の子が言ったことを わかる分だけ音写 してあるんだと思うぜ。 幾らかでも音写 出来た ってことは その子は、この祝詞... というか呪文みたいなものを、何度か繰り返して言ったのかもな」 そうだよな。獣が降りるまで繰り返し言った ってことも考えられるよな。 聞きなれない言葉って、一回 聞いたくらいじゃ 書き写せないだろうしさ。 「この次の “フヒ”、これは “huhi” なら 神の名を逆読みにしている という意味だ。 “優勢”、または “最も高い力” その後は、“救い” “祝福” “成就する”」 ジェイドが訳した言葉を、朋樹が まとめる。 「“火をつけ、取り除く 私 光 サインまたは印を 神の逆読み、最も強い力 救い 祝福 成就する... なんか、物騒な言葉が混ざってるな」
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