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「リリトというのは、キュべレの娘じゃないのか?」 朋樹の言葉に、ボティスが頷く。 「リリトは 生まれてすぐに、父に取られた。 最初はアダムに与えられたが、うまくいかず 地界に降りた。今は皇帝のお目付け役だ」 「ハティか マルコシアスにさぁ ダイナのこと、何か聞いた?」 ダイナ。ジェイドが祓った悪魔だ。 ルカが聞くと 「奴等もキュべレの血を引くが、サリエルと 繋がっている恐れもある」と答え 手品とかみたいに、どこからか片手に乗せれるくらいの箱を出すと、榊の着物の膝に置いている。 「俺は、お前のお目付け役だ」と、オレに言い 「また来る」と 消えた。 「何しに来たんだよ、あいつ」 朋樹が まだ、ボティスが消えた 榊の隣を見つめているけど、ルカが 「榊さん、それ何?」と聞いて、榊が箱を開けている。 榊の代わりに、ジェイドが 「ソリッドパフュームだ」と答えた。 「その箱は知ってる。 カプリ島に工房と店があるんだ。 パフュームや石鹸、キャンドルなどの香りの店。 それはクリーム状の香水で、指に少し取って 手首や耳たぶの裏につけるんだよ」 練り香水 ってやつか。 あいつ、洒落たもんプレゼントするんだな。 オレもフランス土産に、頼まれてた石鹸やったけど、なんか違う気するよな。 箱から出した瓶を見つめる榊は ちょっと嬉しそうだ。 『朋!』と、一階から おじさんが呼ぶ声がする。 「親父が戻って来たな。降りようぜ」 榊は、瓶を大切そうに箱にしまって いつもより楚々とした動作で立ち上がった。
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