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仕事も終わったし、神社に戻ろうかと
来た方へ向くと
「泰河!」と、呼ぶ声がする。
朋樹とジェイドだ。
二人も縄の取り換えが終わったようだ。
「意外とラクだったよな」
オレが言うと
「ああ。二ヵ所は崖下だったけどな」と
朋樹が答えた。
「式鬼飛ばして縄交換したぜ」
ジェイドが「お疲れ様」と、オレに寄り
小声で「誰かが ずっと見ている」と言った。
「えっ? マジで?」
「そっちはどうだ?」
朋樹が聞くけど、オレは榊と顔を見合わせる。
そんな気配、なかったよな... ?
「特には なかったがのう... 」
「とりあえず戻ろうぜ」
神社へ戻りながら、朋樹が短い呪を唱えた。
少し離れた場所で
ガサガサと、地面の枯葉や草が鳴る音がし
「うっ」という、男の声。
木の影に隠れたが、オレらの親くらいの歳に見える おっさんがいた。
白い無地の半袖のシャツに、薄い青色の作業ズボン。
「なんか用っすかー?」
オレが声を掛けると、おっさんは 木の影から集落の方へ逃げるように駆けて行った。
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