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外が暗くなると、皆それぞれの家に入った。
灯りも消して、静かに過ごす晩のはずだ。
おじさんと透樹くんは、まず
地主の香室さん... ミキさんの家で、祝詞をあげ
おじさんがミキさんの家に残り
透樹くんが各家の玄関前に、厄祓いをして回る。
深夜は、塚の近くの小屋で、封じの儀式の後に
おじさんが、巡礼者の塚と小屋に大祓をして
朝、集落の人たちを集めて また大祓をし
それで今回も終わる予定だった。
おじさんと透樹くんが、ミキさん宅での祝詞を
終えた後、外で騒ぐ声がした。
“ミキさんを... ” “贄を... ”
集落の男達が、ミキさん宅に押し入り
ミキさんを連れて車に乗せて走り出した。
おじさんが すぐに車で後を追い
透樹くんは、興奮する人々と民宿へ来た。
「... 途中で親父から電話があった。
ミキさんが腕を切った と」
もうハッキリ事件だろ、これ。
「ミキさんは、自分で切ったらしい」
「は?」
「なんで? どういう... 」
「わからん... 皆の気を鎮めるためかもしれん。
親父が救急車を呼んだ。場所は神社だそうだ」
話している間に、救急車と すれ違った。
サイレンは消していたので、大事にはなっていないと思うが...
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