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救急車を振り向いていると、後ろの集団から少し離れて、誰かがしゃがんでいる。
ばあちゃんだ。
「先に行っててくれ」
オレが ばあちゃんの元に駆け寄ると
榊もついて来た。
「ばあちゃん、大丈夫か?」
「カガセオ様... カガセオ様... 」
ばあちゃんは、膝を擦りながら
肩で息をしている。
「星神は集落に向かうておる。
儂が それを持とう」
榊が懐中電灯を受け取り
オレが ばあちゃんを背負った。
ばあちゃんは軽い。
じいちゃん ばあちゃんてさ、早寝するよな。
まだ深夜でもないけど
どうして、こんな夜遅くに来たんだよ。
膝、痛いんだろ。長く歩くのは大変なんだ。
オレのばあちゃんも そうだった。
ばあちゃんは、オレの背中で
「有り難い 有り難い... カガセオ様... 」と
一生懸命に信じて祈っている。
また哀しくなった。
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