738人が本棚に入れています
本棚に追加
/224ページ
********
神社の空き地には、おじさんの車があったが
おじさんはいなかった。
ミキさんに付き添って、救急車に乗ったようだ。
集落に向かうものだと思っていたのに
集団は神社の階段を昇り出した。
オレも ばあちゃんを背負ったまま
懐中電灯で足元を照らす榊と 一緒に、神社の階段を昇る。
鳥居の先、社の前には朋樹とルカが立ち
ジェイドが社の中へ入った。
透樹くんが「少し待たれてください」と
集落の人達を社と鳥居の間に集めている。
オレと榊も 社の前に行き
「帰りも またおんぶするからさ」と
ばあちゃんを社の端に座らせた。
社の賽銭箱の前に、少し新しい血が落ちているが
たぶん、ミキさんの血だろう。
「穢したな」と、朋樹が冷ややかな眼を向けている。
社の中から、ジェイドが朋樹を呼んだ。
「これを... 」
依代の鏡を手に取っている。
オレも社に上がると、ジェイドと朋樹は
依代の鏡の裏を見ていて
「... ルシファーの印章だ」と、ジェイドが言った。
「えっ? 皇帝?」
言われてみれば、シェムハザの城で描き写させられた魔法円の中に、こういう模様もあった気がする。
「香香背男って... 」
「可能性はあるな」
鏡の裏を見つめる 二人に、これから どうするのかを聞くと
「とりあえず、集落の人の 気を落ち着かせる」と言うが、どうするつもりだろう?
「ボティス、ちょっと来てくれ」
朋樹が呼ぶと、社の中に黒い渦が巻き
ボティスが出現した。
呼べば来るのか...
最初のコメントを投稿しよう!