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「頼む」
朋樹が言うと
ボティスが ざっと オレらの頭を見つめる。
「... カガセオとやらに
うってつけの者がいるだろう」
オレらの思考を読んだボティスが言うけど
「皇帝じゃねぇだろうな?」とオレが返すと
「まさか。輝く といえば、あいつだ。
説明してきてやる。祝詞だか何だかを唱えて
ごまかしとけ」と、社から消えた。
朋樹が社を出て、透樹くんに 祝詞を唱え続けるように耳打ちする。
「合図したら、榊さんに狐火を頼めないか?」
ジェイドに言われ、オレが榊に話すと
榊は神社の裏に回り、狐に戻って屋根に登った。
「カガセオ様!」
「カガセオ様、お姿を お見せになってください!」
「カガセオ様、どうか... 」
「ちょっと... 」
社に近づこうとする人達の足を、ルカが地の精霊を呼んで止めた。
「足が... 」
「カガセオ様がお怒りになっておられる」
なんでもかよ...
まあ、都合はいいけどさ。
社の中に、オーロラのような何かが揺らめき
シェムハザになった。
小麦色のウエーブの髪に明るいグリーンの眼。
相変わらず眩しく、いい匂いをさせているが
なんと神御衣を着ている。日本神の衣類だ。
「こんなに早く会えるとは。嬉しく思うぞ。
話は聞いた。登場シーンから行く」とだけ言って、
また消えた。
外では、透樹くんが祝詞を捧げ続けている。
社の入り口の前を空け、社の壁に指でコツコツと音を立てると
いくつもの赤オレンジ色の丸い珠、狐火が
天から降りて揺れ、どよめきが起こった。
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