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ジェイドが社から出て、戸の前に立ち 口を開く。 「僕は、あなた方の言う神ではないが 彼の従者だ。 だが、あなた方の祈りが天に通じ 今ここに、彼が降りられる。 この赤い光は、その証だ」 ところどころ、微妙な言い回しだったが まあ、誰も気にしないだろう。 集落の人達が静まり、狐火を見上げ出すと ルカが足の拘束を解く。 頭上の高さに、小さなオーロラが揺らめき シェムハザとなった。 神御衣の袖や裾と、小麦色の髪を ゆっくりと なびかせながら 社の前にいるジェイドの隣に降りている。 輝き的には抜群だ。 集落の人だけでなく、透樹くんも口を開けているが 朋樹が「榊の知り合いだ」と誤魔化した。 シェムハザは、狐火が揺らめく中で 長い睫毛の瞼を開き 明るいグリーンの眼で 人々を見回した。 爽やかな甘い匂いが 辺りに漂う。 「... 俺を呼んだのは、お前たちか?」 明るいハスキーな声で言うが、誰も口が開けない。 まさか 本当に降りると思わないよな... 光の珠とか何かでも良かった気がする。
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