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「社を血で穢したな。罪は重い」 狐火が乱舞し始めると、ルカが小声で風を呼び 怯え出した集落の人々の顔に突風を当てる。 恐れ(おのの)いた人々は、次々に座り込み 頭を下げた。 注目されなくなったシェムハザは 「顔を上げよ」と命じた。 風が止むと、狐火は また緩やかに揺れる。 「お前たちは何故、禁を破り 各々(おのおの)の家を出た? 夜明けまで、先祖の罪のために祈れ と言ったはずだ」 それは昔、六部を封じた法師なり何なりが言ったことであって 香香背男... シェムハザが言ったんじゃないとは思うが、皆 「申し訳ありません... 」 「どうか、お怒りを鎮めて... 」と 自然に受け入れている。 「顔を上げろ!」 いや 日本では、謝る時って これが普通なんだよ。 「タタリが祓われるか どうかは お前たちの心次第だ。 罪を悔い改めよ。清浄なる心を持て。 光とは、内にあるものなのだ。 俺は、お前たちと共にある」 タタリのイントネーションが微妙な割りに 皆、有り難がって聞いている。 「この姿では長くは ここに居られんが 俺は、俺の従者に降りる。 この従者を俺と思って従え。良いな?」 シェムハザが、ジェイドの肩に手を置いて言うと 皆すんなり納得した。 もしこれが、ジェイドじゃなくオレだったら 皆、怪訝な顔になったことだろう。 「まずは各々の家に戻って祈れ。 時に人には試練が与えられるが、乗り越えられんのなら、まだ何かしら足りん ということだ。 今タタリを断ちたければ、乗り越えて見せよ」 俺は助けん みたいなことを言って ジェイドの影に溶け込むように見せかけて シェムハザが消え、狐火も消えたが 人々は感動に打ち震えている。
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