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「香香背男様は何と言われた? さあ皆、家へ戻ろう」 透樹くんが先導し、人々が階段を降りて行く。 朋樹が社の戸を閉めようとして 「ん?」と、眉間にシワを寄せた。 依代の鏡が消えていたからだ。 「依代ならば、ボティスが持って行った」 神社の裏から、人化けして出て来た榊が言う。 「まあ、物騒な模様 入ってたし いいんじゃねーの?」 ルカが言い、オレらも頷く。 「流れ的に、集落に向かうことになるよな?」 「ジェイドが カガセオ様だしな」 社の端には、ばあちゃんが座っていて まだ手を合わせて泣いていた。 ジェイドが近くに しゃがみ、背に手を置いて 「帰りましょう」と言うと 「有り難い 有り難い... 」と ますます泣いたけど、なんとか立たせて オレが背負う。 「なあ、ばあちゃん。大丈夫だよ。 オレらも出来ることは するしさ」 ばあちゃんは、背中で 「カガセオ様... 」と 泣き声で祈り続けている。 朋樹が オレの隣に並び 「祟りは終わるよ。もう心配ないんだ。 香香背男様がいるんだしな」と ばあちゃんの背中を(さす)って言った。
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