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外が朝日で明るくなると、朋樹の肩や脚の付け根の痛みは 治まりだしたようだ。 ただこれは 一時的なもので、六部... あの異形の念をなんとかするまでは、暗くなると また痛み出す。 集落で痛みが出ている人は、六部の犠牲者になった人を 先祖に持つ人たちらしい。 川本のおっさんの家を出て、ばあちゃんの家に寄り、布団を敷いて ばあちゃんを休ませると オレらは 一度、歩いて民宿へ戻った。 民宿の おばさんは、オレらを見ると 「無事だったんね! よかった よかった!」と 首にかけていたタオルで、赤くなった目の顔を ごしごし擦り 「本当によかった。お嬢ちゃんも」と 榊の頭に ぽんぽんと手を置いた。 食堂で 軽い朝食をもらい 二階の客間で 昼くらいまで寝る。 起きてから、おばさんに 「オレら、今日で帰る予定だったんだけどさ もう少し長引きそうなんだよな」と 話すと 「他に予約なんか入ってないし、ゆっくりしていき」と、昼食を出してくれた。 再び昼過ぎに集落へ戻ると 昼間のうちに出来ることをしておく。 つまり、魔法円を描いたり 朋樹が式鬼の仕掛けを張ったりするといったことだ。 朋樹が集落の周囲、結界石の内側に 式鬼を仕掛けに行く間 オレとルカは、集落内に魔法円を描いている。 榊は「一度 里へ参る」と、狐の姿で里へ駆け ジェイドは集落の人たちの気持ちを落ち着けようと、透樹くんと 一緒に 一戸 一戸の家に 挨拶に回っている。
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