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ミキさん家にも 母屋と離れの間に魔法円を描き終えると、一度 民宿に戻って食事を取り また集落へ戻って来た。 まだ 19時過ぎたところだが、外は暗くなってきた。 集落の人達は家に籠り、灯りのない中で過ごすことになる。 ジェイドが魔法円に守護精霊を降ろしている間に 榊が 里から戻って来た。 クリーム色の体毛の首に、紅い線をぐるりと巻き、 二つ尾の狐の姿だ。 「ちぃと遅そうなったが、助っ人を連れて参った」 榊は 一人ではなく、黒毛に銀毛が混ざった銀狐と、大型犬くらいある でかい狐を連れて来た。 どちらも背に、薙刀を背負っている。 「おっ、浅黄(あさぎ)じゃん」 銀狐の方は、浅黄というヤツで 榊と同じように、昨年の秋の山神の件で知り合った。 今は、オレや朋樹と仲が良い。 里に置いてきたスマホにメッセージを入れると 返信を返してくるのは浅黄だ。 それで、ちょくちょく話をする。 榊が人化けすると、二人も同じように人化けした。 「久しぶりだな」と、浅黄が言う。 浅黄は、長い髪の上に狐耳が出たままだ。 あまり術が得意ではなく、見た目は やんわりとした雰囲気だが、武に長けている。 洋装の時は、センスが良く 垢抜けているが 今日は着物に袴という、里での人化けの格好だ。
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