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集落の人たちが泣いている。
「このようなものを畏れておったとはのう」
榊は笑い、浅黄が また異形の胸を突いた。
おじさんは汗をかいて見守り
透樹くんは、口元を手で覆っている。
「... “初めに、言葉があった”」
ジェイドが 口を開いた。
「ヨハネだ」と、ルカが呟く。
「“言は神と共にあった。言は神であった。
この言は、初めに神と共にあった。
万物は言によって成った。
成ったもので、言によらずに成ったものは
何 一つなかった。
言の内に命があった。
命は人間を照らす光であった。
光は暗闇の中で輝いている。
暗闇は光を理解しなかった”... 」
ジェイドは 一度、言葉を切った。
薙刀が 異形を振り飛ばす。
「彼は 神じゃなく、神から遣わされた人だ」と
ルカが先を続ける。
「... “彼は光ではなく、証しをするために来た。
光について証しをするため、また、すべての人が彼によって信じるようになるために”
... 畏れて泣いていてもダメだ、祈らないと」
「そう、祈りを。あなたたちの言葉で」と
ジェイドが言う。
「彼は、暗闇の中にいる。
だが、眼を開き、言葉で祈れば
必ず 彼の中の光を理解する。
彼から眼を背ければ、それは あなた方自身から
眼を背ける ということだ。
僕が あなた方と共にあり、光の証しをする」
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