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「朋とジェイドくんは、ここから ここまで。 泰ちゃんと榊さんは、こっち側から ここまで。 古い縄を外して、新しい縄を掛けてくれ」 透樹くんが、スマホの航空写真を開いて 指示を出す。 透樹くんとルカは、バイクで回るので 岩は 10個くらいだが オレらは それぞれ、一組につき5個くらい。 車のトランクから、清めた縄と紙垂を取り出し 手分けして持つと 「終わったら、また この神社の下に来てくれ。 集落の人に挨拶をして民宿に戻ろう」ってことだ。 ルカのバイクの後ろに 透樹くんが乗って出発すると、残ったオレらも 二手に分かれ 山の舗装のない道に入る。 「舗装はないが、この道が集落を取り巻いておるのかのう?」 縄を持ったオレに、紙垂を持った榊が言う。 少し余分に持って来たけど、5本以上は使わないかもな。 「いや、スマホで見ると 途中で道はなくなってたはずだ。そこからは獣道に入る」 朋樹とジェイドに、真ん中くらいで会うかもしれんよな。 あいつらは、逆の方からオレらの方に向かうんだし。 「あの岩ではないかのう?」 榊が指差す先には、古い縄がかかった岩がある。 「うん、あれだな。まず1つ目だ」 雨風に晒された縄は かなり傷んでいて 紙垂はついていなかった。 古い縄を回収して、新しい縄を掛け 端と端を合わせて結び、榊が縄に紙垂を付ける。 「よし。次 行こうぜ」 作業が大変だと聞いていたけど、割りと楽に終わりそうだ。
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