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神社の下にはもう、ルカと透樹くんがいた。
さっきの おっさんの話をすると
「結界張りに回る って言ったから
集落の人が気にして見に来たんだろう。
俺らは余所者だから」と、透樹くんが言うけど
この集落のために来てるのに
余所者とかって、そんなに気にされてもな...
「とにかくさ、結界は張り終わった って
報告してくるよ」
透樹くんは、また 一人で行くというが
オレは、さっきのおっさんが気になったので
ついて行くことにする。
「オレも」と、朋樹もついて来た。
「いいけど、おまえたちは黙ってろよ」
神社から道を奥へ進むと、田畑や牛舎があり
ぽつぽつと家が増え始めた。
見た感じは、のどかで平和だ。
田や畑にいる人が、通りかかるオレらを
じっと見ている。
オレが、“ども” と 会釈すると
まるで見ていなかったかのように、作業に戻った。
明らかに家の窓から覗いていた人も、顔を向けるとカーテンを閉める。
なんなんだ... ?
畑の脇にいた 二人のおばさん達の前を通る時は、
もう 眼は向けなかったが
「... 余所者が」と、ヒソヒソ話していたのが
聞こえてくる。
これ、聞こえるように言ってるよな?
ヒソヒソ話風に言っていても、声の大きさは普通くらいだった。
けど、もし ここで振り向いたりしたら
オレが会話を盗み聞きしたかのように取るだろう... と、なんとなく思う。
「気味悪ぃな」
ぼそっと言った朋樹に頷く。
空気に うっすら闇を感じるぜ。
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