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「カガセオ様だ!」「カガセオ様!」
は... ?
集落の人達は、走り寄って来て
ジェイドの前に膝をついた。
「カガセオ様」「カガセオ様、どうか私共を... 」
「お救いください」
「カガセオ様」
「祟りをお鎮めください」
あの ばあちゃんもいる。
透樹くんが走って来て
「皆さん、聞いてください!
この人は、あなた達の神じゃない」と
必死に言っているが、誰も聞いていない。
「落ち着いてください。
僕は神父です。あなた方が仰るような者では... 」
ジェイドも言うが
「カガセオ様」
「カガセオ様か降りられた」
「この方は化身だ」と、話にならない。
「... とにかく、集落に戻した方がいいんじゃないか?」
朋樹が おじさんに電話しようとスマホを出した時に、サイレンの音が近づき、救急車が集落の方に走り抜ける。
「何だ?」
透樹くんが「怪我人が出た」と、短く言い
「皆さんも、自分の家に戻ってください!」と
また呼び掛けるが
皆、ジェイドだけを見ている。
異様だ。眼が普通じゃない。
幻惑でもされてるように見える。
「わかりました。一緒に行きましょう」
ジェイドが諦めたように言うと
集落の人達は、ますます
カガセオ様、カガセオ様と、ジェイドを有り難がった。
ジェイドとオレらが集落の方に向かうと
皆、少し離れて ついて来る。
朋樹が透樹くんに “どうなってんだよ” と
眼を向けると、透樹くんは
ふう と息をつき、小声で説明し出した。
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