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彼女を見送ってから食器を洗い、ランドセルを背負って家を出た。
建物を出たところで望月英が待っていた。
ブレザーに高校指定のフェルトのコートを羽織った彼女は、人懐っこい笑みを浮かべた。
「おはよ、お姉ちゃん」
「おはよー、レンくん。これあげる」
ミトンの手袋越しにもんでいた、使い捨てカイロをこちらに寄越した。
「ありがと」
「ねえ、涼くん、喜んでた?」
期待を込めて眼をきらきらさせる彼女に、練空はカイロをもみながらそっけなく答えた。
「うん、まあ」
「良かった。ねえ、また頼まれてくれる?」
彼女は喜色満面で言い、バッグから紙袋を取り出した。
ビーズやシールでごてごてにデコレートされている。
「自分で渡しなよ。彼氏なんでしょ」
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